● 撮影倍率の設定
口腔内写真は、1/2 と 1/3 倍率の2つの撮影倍率を多用して撮影しますが、5枚法に限っては 1/3 倍率だけを使います。撮影倍率の設定は、写真9のようにレンズ鏡筒にあるフォーカスリング ( ピントを合わせるリング ) ( a ) を回すことで、( b ) の目盛に表示される数字をガイドに合せます。1/2 倍率に設定したときは 「2」を合せ、1/3 倍率は「3」を合せます。
● 撮影距離を調節してピントを合わす
撮影倍率を固定するときは、本来であればピント合せを手動(M)にする必要があります。理由は手動であれば撮影倍率をより正確に得られるからです。そのため、いざ撮影となったときのピントの調整は、写真9の方法で撮影倍率を決定した後で、カメラのレンズ先頭と被写体までの距離(これを撮影距離、またはワークディスタンスと呼びます)(写真10)を、撮影者みずからが前後に動いて調節します。ピントが合ったところでシャッターを押して撮影します。
● ピント合わせが難しいと感じたら
マニュアルフォーカスでの撮影に慣れていないと、ピントのボケた写真を撮ってしまいがちです。また、実際の臨床では、撮影倍率の正確さよりもピント合わせの正確さと素早さが要求されますので、ここではオートフォーカスとマニュアルフォーカスを併用した特別な撮影方法を紹介しましょう。この方法を使うと、撮影倍率に多少の誤差が生じてしまいますが、かなりの確率でピンぼけ写真を解消できます。
- フォーカスモードを 「 M/A 」 に設定(写真7)
- フォーカスリングで撮影倍率を設定する(写真9)
- 撮影距離を前後に動いて調節(写真10)
- フォーカスロックを使って撮影する
最後の「フォーカスロック」とは、オートフォーカスモードのとき、シャッターボタンを半押しの状態にしてピントを固定することです。
そのままシャッターボタンを押し切ると、固定したピントのまま撮影できます。
フォーカスロックは、ピントを合わせる場所を固定したまま構図を変更するときに使います。
なぜフォーカスロックを使う必要があるのかというと、オートフォーカスの欠点を解消できるからです。
オートフォーカス機能は、多くの場合ファインダー内の中央にある箇所にピントを合わせるように調節されているため、咬合面観の撮影時などは、舌や口蓋にピントが合ってしまい、歯がボケてしまうことがあります。
こうした問題を解消するために使うのがフォーカスロックです。ピントを合わせたい箇所をファインダーの中央に配置し、シャッターボタンを半押しにしてピントをロックしたら、正しい構図に移動してからシャッターボタンを押しきって撮影します
なお、ここではフォーカスポイント(ファインダー内でピントが合う箇所。写真11内でフォーカスロックすると赤く点灯する■のこと)をセンターに固定して使っています。フォーカスポイントはカメラのマニュアルを読んで、センターに固定しておく必要があります。