基本的なライティング方法
ライティングを行うときは、最初に「基本ポジション」にストロボを設置し、人物の特徴によって「微調整」をします。次に「バリエーション」に移ります。
ライティングの流れ
では、それぞれについて、詳しく説明します。
基本ポジション
「斜め45°」…被写体から撮影者に向かって、右または左斜め約45°の位置という意味です。
「目線より高く」…被写体からストロボを見て目線より高い位置にストロボの高さを設定します。
綺麗に光が回りつつ、程よい陰影で立体感のあるライティングです。陰影がつくことにより服の質感が表現され、高級感のある写りになります。目線より高い位置から光を当てることで自然な印象になりやすいです。
微調整
基本ポジションは当たり外れが少ない標準的なライティングですが、万能ではありません。
“被写体のイメージや肌の調子”、“凹凸やパーツの大小などの顔の特徴”、“着ている服の種類”によって適した光の当たり方は異なります。基本ポジションからの微調整が必要になる場合がありますので、調整方法について見ていきましょう。
◎イメージ “格好いい”はサイド寄り、“可愛い”は正面寄りが似合う
◎肌 シワや肌荒れが気になる場合は正面寄りに
◎顔の凹凸やパーツの大小 気になる箇所が目立たないように
◎衣装の形・質感 服の形や質感を強調したい場合はサイド寄りに
ポイント
バリエーション
さて、基本ポジションの調整が終わったら、次にバリエーションを撮りましょう。バリエーションには3つの基本パターンとその組み合わせがあります。
○同心円 被写体を中心に同心円状にストロボを移動させる。
・同心円状に移動させる場合は、被写体との距離が一定のため、ストロボの発光量を変える必要はほぼありません。
・ストロボの向きが被写体に向くように調整してください。
・正面寄りにするほど若い印象に、サイド寄りにするほど大人びた感じに、さらに後方寄りに設置すると影を帯びてドラマティックな印象を与えます。
※注意 サイドから後方寄りに設置する場合は、ストロボ光が露出にあまり影響しないため、TTLが使えません。Mで光量調整を行ってください。
⇅上下 ライトスタンドを伸縮し、ストロボを上下させる。
・高くする場合は光量を強く。低くする場合は光量を弱く。
・ストロボ発光部が被写体に向くよう、上下角度の調整も行ってください。
↔距離 被写体へストロボを近づけたり、遠ざけたりする。
・近づける場合は光量を弱く。遠ざける場合は光量を強く。
・ストロボ発光部が被写体に向くよう、上下角度の調整も行ってください。
それでは、次のページではバリエーションの変化を具体的に見てみましょう。
【同心円移動:約23°(正面寄り)】
基本ポジションに比べ、光がよく回り明るい印象になります。
45°の写真に比べると少し平面的な印象になりますが、程よい立体感もあります。陰影が少なくなり表情も明るく見えます。
【同心円移動:0°(正面)】
基本ポジションに比べ陰影がほとんどありません。高さを付けているので下方向(アゴの下など)にだけ影ができています。
横方向に陰影ができないため立体感はあまり感じられません。
では、今度は、基本ポジションから(被写体の)サイド寄りに移動してみましょう。
【同心円移動:約68°(サイド寄り)】
基本ポジションに比べ影の面積が増えます。立体感があり少しダークな雰囲気が出てきました。
【同心円移動:90°(真横)】
顔の半分が影になるライティング、いわゆるスプリットライティングと呼ばれるものです。
次は、サイドからさらに後方寄りに移動するとさらに影が多くなります。
【同心円移動:約113°(後方寄り)】
半逆光と言われる光ですが、表情が暗くなり、ドラマチックな表現になります。
【同心円移動:約135°(後方寄り)】
基本ポジションに比べ、ほとんど顔に光が当たらず、よりシルエットが強調されます。
白い壁や背景紙などから反射の光が回り込み薄っすらと表情が見えていますが、影側に黒レフなどを置き黒締めすると完全に影になります。
それでは最後に「↔距離」を変えた場合の変化について見てみましょう。