ニッシンデジタル - ストロボ・フラッシュ

コラム

NASシステムで電波の飛びが悪いときには

ニッシン独自の電波式ワイヤレスシステム「NAS」は、免許不要の2.4GHz帯の電波を使った仕様となっています。

この2.4GHz帯にはさまざまな機器が存在しておりますので、環境によってはお互いの電波が影響・干渉しあい、混信で通信がうまくいかなくなることがございます。
そこで今回は、身の回りにある2.4GHz帯を使用している製品と、うまくいかない場合の回避法(それでも完璧な方法はないのですが…)をお話いたします。

本来は、電波を飛ばすのにはトラブルを防ぐため免許が必要なのですが(テレビ局やラジオ局もそうですね)、2.4GHzの電波帯域は「ISMバンド」とも言い、機器が電波法に則った認証さえ取得していれば、ここだけは特別に免許なしで自由に使っていいよ、という帯域なのです。

さてそんな2.4GHz帯を使った身近なものから。

パソコンやスマートフォン、ポケットWi-Fiなどでで使う無線LAN「Wi-Fi」 これがいま2.4GHz帯電波の主役でしょう。みなさんも使っているはずですね。

ワイヤレスイヤホンやスピーカーの「Bluetooth」も、同じく2.4GHzの電波を使った規格です。

…と、身の回りには2.4GHzの電波を使う機器が数えきれないほどあります。
他にも、最近のテレビリモコンにも2.4GHz電波を使ったものが増えていたり、固定電話の子機との通信・電子レンジのあたため中に出る電波も2.4GHzだったり、業務用のワイヤレスマイクや照明器具にも2.4GHz帯を使ったものがあったり…身の回りで「ワイヤレス」の機器はほとんどこの帯域を使っているものと思って構いません。

そう考えると、環境によって影響を受けることがあるのは、弊社製品に限らず多少は仕方ない部分でもあります。

そして、日本で合法的に電波を発する機器を使うためには、電波を出す機器側に通称「技適マーク」というロゴと認証番号が表示されている必要があります。
この写真はAir1ですが、左側に丸の中に〒マークがついたロゴがありますね。これが技適マークです。(ニッシンストロボは対象全製品が技適マーク取得済みです)

海外仕様の製品ではこのロゴがなく、日本で規定されているよりも強い電波を出したり、規定外の電波帯域の電波が出ていたりするものもあり、認証を取得した機器が、そうでない機器に邪魔されて正常に動かなくなる…という事例もあるようです。

さて、弊社NASシステムの機器を使っていて、上記のような無線を使う機器が周囲にないはずのに、どうしても電波の飛びが悪い…という場合は、以下の点をお試しください。
なお、Air1はカタログ値で見通し30m・Air10sは同じく見通し100mとなっております。(保証値ではありませんので条件によって変わります)

(1) 電波を通しにくいものが、コマンダーとストロボの間にないか?
2.4GHzの電波は直進性が高いため、遮蔽物を回り込んで届くことがあまりありません。鉄などの金属や鉄筋コンクリートは電波を遮蔽するため、通信距離が著しく落ちることがあります。
また、電波は壁・床・屋根天井などから反射して届く成分もあるため、空間の構造によっては、電波が強め合ったり、反対に弱めあったりすることで、到達距離が大きく変化することもあります。
うまく発光しない場合は、置き位置を移動したり、設置高さを変えたりして試してみてください。

(2) 影響を与える可能性のある機器がすぐ近くにないか?
ポケットWi-Fiやスマートフォン、Bluetooth機器、カメラのワイヤレステザーシステムなどとNASコマンダーを近づけすぎると、電波干渉が起こり通信が安定しない場合があります。
不要な機器の電波が出ない状態にするか、電波を発する機器同士を近づけすぎないようにしてください。(最低1m程度離せばだいぶ改善すると言われます)

(3) コマンダーの電池残量は十分にあるか
初歩的ではあるのですが、撮影中に意外と気が付かないことも多い点として、電池残量は少なくなると飛びが悪くなったり、予期しない動作をすることが稀にあります。
特にAir10s・Air1は小型化のため単4電池2本仕様ですので、意外に消耗が早い場合もあります。大容量のニッケル水素充電池(eneloop proのような製品)や、予備電池をご用意いただくことをお勧めします。

(4) NASシステムの通信チャンネルを変更してみてください
NASシステムは、合計で8つのチャンネルが使用可能となっています。他社製品のように同じ機器をグループ分けするためのチャンネル設定ではなく「混信時・通信が不安定な際に、にそれを回避できるように」との意味でチャンネル設定値を変えられようになっています。

Air1の場合は上記の操作となります。両端のチャンネル1もしくはチャンネル8が、Wi-Fiの混信を受けにくいようです。
Air10sの場合は操作パネルのダイヤル上「Channel」と書かれたところを押し続けると、ダイヤルでチャンネルセレクトできるようになります。

Air10sの場合は、ダイヤルにある「Channel」を長押しするとダイヤルで変更できるようになります。(Air10sのチャンネル1は、MG10でのみ使用できます)

(5)コマンダー・レシーバーのアンテナの方向を変えてみる
効果は僅かですが、機器のアンテナをお互い向き合う方向にすることで、通信が多少改善することがあります。

Air1とAir10sは、前面部分にあるNissinロゴの裏あたりにアンテナがあります。

i60A・Di700Aは、本体前面にあるNissinロゴの裏あたりにアンテナがあります。

AirRは、前面のAirRロゴの下あたりにアンテナがあります。

ソフトボックスなどでアンテナ部分が物陰に隠れてしまう場合、ストロボを回転させるなどでこのアンテナ部分をカメラ方向へ向けることで改善する場合があります。

ニッシンのAirコマンダーには、お手頃価格・シンプル操作のAir1と、多機能・高性能なNASシステムの中核を担うAir10sの2機種がございます。
より高度な撮影や、近距離の撮影でも電波状況が良くない場合の安定性を求める場合は、ぜひAir10sをご利用いただきますようお願いいたします。

【Air10s 製品情報】
https://www.nissin-japan.com/product/air10s/

【Air1 製品情報】
https://www.nissin-japan.com/product/air1/